濃いグリーンの葉から伸びる美しい仏炎苞(ぶつえんほう)をもつ花が魅力的なスパティフィラム。
花の美しさはもちろんですが、ツヤのあるグリーンの葉もスパティフィラムの魅力のひとつです。
そんなスパティフィラムの葉の色が薄くなる症状にお悩みではありませんか?
そこで今回は、スパティフィラムの葉の色が薄いときの主な原因と対処法をくわしくご紹介します。
スパティフィラムの葉の色が薄い理由とは?
株自体の元気はあるものの、葉の色が薄いと不安になりますね。葉の緑色が薄くなるときに考えられる主な原因をみていきましょう。
スパティフィラムの葉の色が薄い原因①根詰まり、株詰まり
スパティフィラムの葉の色が薄くなったり、葉先が茶色く枯れていたりする場合に考えられるのが、「根詰まり」です。
特に、2年以上株分けしておらず鉢から葉がはみ出るほどの大きな株に育っている場合、親株のまわりに子株がびっしりと詰まって根元がぎゅうぎゅう詰めになっていることがあります。
この状態では根がスムーズに水分や養分を吸い上げられません。その結果、葉の色が薄くなったり葉先が枯れるなどの症状が出てきます。
根詰まりを起こすと、葉が小さくなってきたり花が咲かなくなったり…なんて症状も出やすいよ。
2年以上株分けしていない場合、株がぎゅうぎゅう詰めになっていることも…
上写真のスパティフィラムは約一年前に植え替えた株です。すでに鉢から葉がこんもりあふれ出していますね。
根詰まりしている場合の代表的な症状として「鉢底から根がはみ出る」というものがありますが、こちらの株はどうでしょうか?鉢底を覗いてみましょう。(下写真)
植え替えて一年も経っていないため、鉢底から根がはみ出る様子はありません。では、根詰まりしていないからこのままで大丈夫なのでしょうか?
答えはnoです。実は、植え替えはしているものの、購入して2年以上株分けをしていないからです。
実際に株を取り出して内部を見てみましょう。(下写真)
2年以上株分けしていなかったため、親株のまわりにびっしりと子株がついています。
根が絡み合って株元が詰まっています。これでは新しい葉も花芽も出にくくなります。
スパティフィラムは、親株のまわりに子株を増やしながら育つ。2年以上株分けしないと鉢が詰まってしまうんだ。
スパティフィラムの葉の色が薄い原因②直射日光による葉焼け
スパティフィラムは直射日光を好みません。強すぎる光に当たると葉の一部が焼け焦げたように変色する「葉焼け」を起こしやすいからです。
スパティフィラムが好むのはレースカーテン越しの光や半日陰などの柔らかな日光です。特に夏場は高温により葉焼けリスクが高まります。
▲葉焼けしたポトスの葉
スパティフィラムやポトス、モンステラなどサトイモ科の観葉植物は、「直射日光で葉焼けを起こしやすい(特に夏場)」という特徴があります。
葉の色が薄くなるのは葉焼けの初期症状
葉焼けといえば、葉の一部が茶色く変色する様子を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、葉の色が薄くなるのも葉焼けの症状のひとつです。
「葉の色が薄くなってきたな」と気づけたら、まずは直射日光が当たっていなかったかを確認してみましょう。
▲ダイソーで購入した遮光ネット
移動が難しい場合は遮光ネットや寒冷紗などを利用します。
すでに葉焼けを起こした部分は残念ながら元には戻せない。でも、早目に対処することで株へのダメージを最小限に抑えられるよ。
スパティフィラムの葉の色が薄い原因③10度以下の寒さ
スパティフィラムはそのトロピカルな見た目の通り、元々は熱帯地方が原産の植物です。そのため、寒さには強くありません。
スパティフィラムが耐えられるのは5度~8度程度までです。ただ、これは枯れないための最低温度。
美しい姿を保つためには最低でも10度~15度程度は必要になります。寒さが続くと徐々に葉の色が薄くなったり(くすんだようになる)、葉の色つや・張りが失われます。
室内でも窓際の冷え込みには気を付けよう
「室内に置いているから大丈夫!」
しかし、室内であっても朝晩に急激に冷え込む場所があります。それが、窓際や玄関などです。
特に、戸建て住宅の場合は暖房を消した朝晩に急激に冷え込むことが多いでしょう。夜になったら窓から1~2mほど離してやるだけでも寒さ対策には効果的ですよ。
できればお部屋の中心部に移動し、朝になったら窓際に戻すと理想的です。
15度以下になったら水やりは控え目にシフト。できるだけ暖かい時間帯に30度くらいの常温の水を与え、しっかりと水気を切ろう。
乾燥する時期は葉水も忘れずに!
スパティフィラムの葉の色が薄い原因④病害虫
スパティフィラムの葉の色が薄くなったり、色味が悪くなったりしている場合、病害虫による被害を受けている恐れもあります。
「なんとなく葉の色が悪い、元気もない様子」という場合は、葉の表だけでなく裏や葉の付け根、茎などに小さな虫が付いていないか確認してみましょう。
葉がべたべたする場合はカイガラムシが付いていることがある
特に、スパティフィラムの葉がベタベタする場合は「カイガラムシ」という害虫がついていることがあります。
カイガラムシは非常に小さな虫ですが、植物に付くと吸汁によって徐々に株を弱らせてしまいます。そして、カイガラムシの糖分を含んだ排泄物がべとつきの原因です。
カイガラムシは種類が多い。白い綿のような姿をした「コナカイガラムシ」も観葉植物に付きやすいよ。見つけたら早目に取ってね。
スパティフィラムの葉の色が薄い原因⑤過度の乾燥
スパティフィラムは観葉植物の中でも珍しく、水を好む性質があります。土の表面が乾いてきたタイミングでたっぷりと水を与えましょう。
水やりを忘れたり、鉢内が乾燥し過ぎると下写真のように葉がぐったりと垂れてきます。
この場合、たっぷりと水を与えれば張りのある姿に元に戻りますよ。
ただ、乾燥状態があまりにも長く続くと、上写真のように葉が黄色く変色してしまうこともあります。
スパティフィラムは、ゴムの木やサンスベリアなどと同じ感覚で水やりしていると過度の乾燥に陥りやすいよ。
スパティフィラムの葉の色が薄い理由とは?【まとめ】
今回は、スパティフィラムの葉の色が薄いときの主な原因と対処法をご紹介しました。
葉の色が薄い場合、まずは寒さに当たっていないか、次に、鉢内が根で詰まっていないか確認しましょう。
根が詰まっていると、いくら水分や養分を与えてもスムーズに吸い上げられません。
▲肥料を与えるのは根詰まりを解消してから
それどころか、鉢内の多湿状態が長くつづくことで根腐れを招いてしまう恐れもあります。
また、葉の表や裏、葉の付け根などに小さな虫が付いていないかもあわせて確認します。
そして、特に暑い時期に気を付けたいのが葉焼けですね。
うっかり西日に当ててしまわないよう、置き場所の日当たりは十分に考慮してやる必要があります。
スパティフィラムの葉の色が薄いときの主な原因と対処法
- 根詰まり、株詰まり(2年以上株分けしていない場合)
- 直射日光による葉焼け
- 10度以下の寒さ
- 病害虫
- 過度の乾燥、水のやり忘れ