すっきりとしたフォルムの白い花が印象的なスパティフィラム。美しい花はもちろんツヤのある濃いグリーンの葉も魅力的な観葉植物です。
そんなスパティフィラムの元気がない様子にお悩みですか?
そこで今回は、元気がないスパティフィラムの主な原因と対処法を症状別でくわしくご紹介します。
スパティフィラムの元気がない時の原因と対処法【症状別・完全ガイド】
「元気がない」とひとことで言ってもその症状はさまざまです。まずは、目の前のスパティフィラムをよく観察してみましょう。
スパティフィラムの元気がない ケース①葉が垂れる、しおれる
下写真のようにスパティフィラムの葉が垂れている、しおれている場合は水不足が疑われます。
スパティフィラムは他の多くの観葉植物に比べて水を好む性質をもつ植物です。
そのため、ゴムの木やサンスベリアなどと同じ感覚で水やりしていると水不足によって葉がしおれやすいです。
この場合、土が乾いているのを確認できたらたっぷりと水を与えて様子をみましょう。
暖かい時期であれば1日もすると張りのある葉に戻るよ。15度以下なら復活するまでもう少し時間がかかることが多い。
乾燥状態が長引くと葉が黄色っぽく変色することもある
葉が垂れていてもすぐに水を与えれば問題なく育ってくれることの多いスパティフィラムですが、あまりにも乾燥状態が長引くと下写真のように葉が黄色っぽく変色することもあります。
スパティフィラムの場合、土の表面が乾いてきたタイミングでの水やりが理想的です。
15度以下となる時期は生長が緩慢になり、根が水分を吸う力が弱まるため暖かい時期よりは間隔を空けた水やりがよいでしょう。
特に、寒い時期の過度の水やりは根腐れの原因になります。タイミングが分からない場合は、葉が垂れてきたタイミングでの水やりでも構いません。その場合、土の表面が乾いていることを確認します。
土の表面が乾いていない状態で葉がしおれている場合は根腐れしている可能性があるため、水やりを控えて風通しのよい半日陰において様子を見ましょう。
スパティフィラムの元気がない ケース②葉先が茶色く枯れる
スパティフィラムの葉先が茶色く枯れるという場合に考えられるのが、根詰まり・株詰まりです。
スパティフィラムは親株のまわりに子株をどんどん増やしながら育っていきます。
そのため、2年以上株分けしないままだと株元がぎゅうぎゅうに詰まり、根詰まりと同じ症状が出始めます。
鉢内が根でぎゅうぎゅうになると、排水性が低下して根腐れを招くこともあります。
大きな株に見えても「小さな株の集合体」になっていることが多い
上写真は、2年以上株分けをしていないスパティフィラムです。株分けはしていないものの、一年に1回は植え替えをしてきました。
株の内部を見てみましょう。(下写真)
親株のまわりにびっしりと子株が詰まっていますね。これでは花芽どころか新しい葉も出にくいです。
根も絡み合ってぎゅうぎゅう詰めになっています。このように、スパティフィラムは2年以上株分けしないままだと根元が詰まって生育に影響を及ぼすことが多いです。
気温が安定して20度程度になったら、株分けで鉢内の水はけをよくしてあげましょう。
また、根の詰まりを解消した上で適切に肥料を与えることで、より色つやのよい株に育てることもできます。根詰まりしたままでの施肥は、根を傷める原因になるため避けましょう。
スパティフィラムの元気がない ケース③葉の色が薄い
スパティフィラムの葉の色が薄い場合、考えられる原因には「根詰まり」「直射日光による葉焼け」「病害虫」「寒さ」などがあります。
まずは、寒さや直射日光に当たっていないか確認しよう
まずは寒さに当てっていないか確認しましょう。スパティフィラムが耐えられるのは8度程度までですが、それは枯れないための最低温度です。
15度以下になると生育自体が緩慢になり、葉の色がくすんだり変色したりしてくるはずです。
次に、直射日光や西日に当たっていなかったかも確認します。スパティフィラムが好むのは半日陰程度の柔らかな光です。
葉焼けの初期症状には「葉の色が薄くなる」も含まれます。(下写真)
▲葉焼けにより葉の色が薄くなったフィカスウンベラータ
スパティフィラムの元気がない ケース④花が咲かない、葉が小さい
スパティフィラムの花が咲かないという場合の原因は「株が充実していない」ということに尽きます。
また、株が充実しているというのは「ひとつの株が充実している」ということです。
2年以上株分けしていない場合、株元が詰まって花芽が出にくくなることも…
下写真は植え替えから一年も経っていないスパティフィラムです。しかし、春になっても花芽が出ません。主な原因は根詰まりです。
実は、スパティフィラムは元株のまわりに子株を増やしながら生長していく植物です。そのため、2年以上株分けしていないと根元が詰まって花芽が出にくくなってきます。
▲株元から出たスパティフィラムの花芽
上写真のように、スパティフィラムの花芽は株元付近から出てきます。しかし、株分けしないまま2年以上経っていると、株元が混みあって花芽や新しい葉が出にくくなるのですね。
▲株分け後のスパティフィラム
大株になったスパティフィラムの花を咲かせたい場合、春から秋の暖かい時期に株分けで根元の詰まりを解消し、その上で「ひとつの株を充実させる」必要があります。
スパティフィラムの元気がない ケース⑤葉がべたべたする
「スパティフィラムがなんとなく元気がない…」「全体的に色味が悪い気がする」「葉がベタベタする」
このような場合、病害虫による被害を受けている可能性もあります。特に、葉がべとつく場合に多いのが「カイガラムシ」という害虫による被害です。
一見、ただの汚れのようにも見えるとても小さな虫ですが、スパティフィラムに付くと吸汁により樹液を吸われ、株を弱らされてしまいます。
また、樹液を吸い上げるため糖分を含む排泄物を葉の表面や裏などにまき散らします。これがべとつきの原因です。
葉がべたべたする場合は葉の表や裏、付け根や茎などに小さな虫が付いていないか点検!
カイガラムシは1mm程度の小さな虫です(成虫になれば3mm以上になることもあるようです)。また、カイガラムシはほとんど動かないため虫と気づかないかもしれません。
だいたいが茶色で楕円形をしています。また、カイガラムシは非常に種類が多くその形態もさまざまです。
観葉植物によく付く種類には「コナカイガラムシ」というものもあります。
白いふわふわとしたカイガラムシで、寄生されたままにしておくと吸汁により植物を枯らされます。
▲コナカイガラムシ
カイガラムシは見つけたら早目に取り除くことが大切です。
また、風通しの悪い場所で発生しやすいため、スパティフィラムを室内で管理する場合は扇風機やサーキュレーターを使い、空気の流れをつくることが害虫予防になります。
スパティフィラムの元気がない時の原因と対処法【まとめ】
今回は、スパティフィラムの元気がない時の主な原因と対処法を症状別でご紹介しました。
多くの観葉植物に比べ、スパティフィラムは水切れを起こしやすい植物です。また、空気中の水分が多い状態をキープすることで美しい姿を保つことができます。
特に、秋から冬にかけての乾燥しいやすい時期はこまめな葉水で空気中の水分を補ってあげましょう。
目の前のスパティフィラムをよく観察した上で、これまでの管理方法を思い返し、元気がない原因と対処法を見つけて試してみてください。
スパティフィラムの元気がない時の主な原因と対処法
- 葉が垂れる、しおれる⇒水不足が疑われる。土の表面が乾いていたらたっぷりと水を与えて様子を見る。
- 葉先が茶色く枯れている⇒根詰まりが疑われる。また、2年以上株分けしておらず株が大きくなっている場合は暖かい時期に株分けして根元の詰まりを取る。
- 葉の色が薄い⇒寒さや根詰まり、葉焼けや病害虫などが考えられる。まずは寒さや直射日光に当たっていないか確認。その後、根詰まりや害虫の有無を確認。
- 花が咲かない、葉が小さい⇒株が充実していないことが主な原因。大株に見えても小さな株の集合体となり根元がぎゅうぎゅう詰めになっていると花芽が出にくい。暖かい時期の株分けを検討。根の詰まりを解消した上で、一つの株を充実させる。
- 葉がベタベタとする⇒カイガラムシがついていないか確認。見つけたら早目に駆除。