さわやかな葉色が美しく涼し気なシンゴニウム。ポトスやモンステラ、スパティフィラムなどと同じサトイモ科の観葉植物です。
熱帯アメリカが原産のシンゴニウムは暖かい時期に生長がさかんになります。
そして、購入してしばらくはコンパクトにまとまっていたはずの株姿が、生長とともに株が鉢からだらんと垂れるようになってお困りではありませんか?
そこで今回は、シンゴニウムが垂れる主な原因と株が垂れるときの対処法をご紹介します。
シンゴニウムが倒れるのは「性質的なもの」と「日光不足」が主な原因
室内をさわやかな雰囲気にしてくれるシンゴニウム。せっかくの美しい葉も鉢からだらーんと垂れていては観賞価値が下がってしまいますね。
とはいえ、シンゴニウムが垂れる(横に這うように生長する)ことは自然の姿なんだ。くわしく解説するよ!
土が乾いているなら水切れを起こして垂れている可能性が高い
シンゴニウムがぐったり垂れている場合、まずは土の乾き具合をチェックしてみましょう。
もし、土の表面が乾いているなら水切れを起こしている可能性が高いです。たっぷりと水を与えて様子をみましょう。
シンゴニウムの水遣り【目安】
- 春~秋(15度以上)…土の表面が乾いたタイミングで鉢底から水が出るくらいにたっぷりと与える
- 冬(15度以下)…土の表面が乾いてさらに2日ほど経ってから土の約半分が湿るくらいの量の水(常温)を与える
シンゴニウムは低温に弱い。冬の水遣りは夜間を避け、できるだけ晴天の日の午前中までに済ませよう。
シンゴニウムは半ツル性のため生長とともに垂れる
まずはじめに、シンゴニウムはポトスやモンステラなどと同じ半ツル性の植物です。
そのため、生長とともにツルが伸びて鉢から垂れ下がるようになります。
自生地ではジャングルの下草的存在のシンゴニウム
本来のシンゴニウムはジャングルの下草的存在です。
横に這うようにして広がり、大木に絡みつきながら木陰で生長していくという性質を持ちます。
シンゴニウムが生長とともに垂れる(横に這うようになる)のはごく自然なことなんだね。
茎がひょろひょろに伸びている場合は日光不足も疑う
ただし、以下のような場合は日光不足による徒長も疑われます。
- 葉と葉の間隔が広くて間延びしている
- 茎がひょろりと長く伸びて弱々しい
シンゴニウムは直射日光が苦手です。
とはいえ、あまりにも日光が足りないと葉と葉の間隔が空いて間延びし、株全体にボリュームがなくなってきます。
窓から離れたお部屋の壁際や隅、窓際でも光が当たりにくい位置にシンゴニウムを置いていないかな?
室内なら南~東向きの窓際に置くのがベスト
室内であればレースカーテン越しの明るい窓際が理想的な置き場所です。
同じ室内でもお部屋の中心近くと窓際、壁際では日光、風通しの面で大きく異なります。
ちなみに、株が古くなってくると根元近くの葉が新陳代謝により落ち、見栄えが悪くなってくる。寒さに当たった場合も同様だよ。
あわせて読みたい「日光なしでも観葉植物は育つ?日光がなくても枯れずに長持ちするグリーンも」
垂れるシンゴニウムは支柱で支えるのがベスト?
シンゴニウムが垂れてくると「支柱を使うべきなのかな?」と思われる方が多いでしょう。
もちろん、つる性の性質を持つシンゴニウムですから支柱を立ててやれば絡みつくこともあるでしょう。
コンパクトな姿に整えるなら、切り戻し&挿し木で整えるのが簡単でおすすめ
ただ多くの方の場合、「購入当初のコンパクトな姿」に戻したいのではないでしょうか?
垂れるシンゴニウムを簡単に整えたいときのおすすめなのが「切り戻しからの挿し木」。次項でくわしく解説するよ。
あわせて読みたい「窓のない部屋でも楽しめるおすすめの観葉植物とは?」
シンゴニウムが倒れるときの簡単な対処法
では、株全体が垂れてしまったシンゴニウムを剪定+挿し木で簡単に整える方法をご紹介します。
シンゴニウムが垂れるときの簡単な対処法 手順①適期は春~初夏
シンゴニウムの生育がさかんになり始める春~初夏(5月~6月ころ)、伸びすぎて垂れる部分をカットします。
シンゴニウムは寒さが大の苦手。冬はもちろん、寒くなる前の秋も大胆に切り戻すのは避けてね。そのまま弱ってしまうリスクがあるよ。
シンゴニウムが垂れるときの簡単な対処法 手順②カット
茎の節と節のあいだにハサミを入れてカットします。節は葉柄の付け根部分のことです。
もし気根が出ていれば、気根も2~3つ含めてカットすると発根しやすいです。
カットしたつるは下葉(水に挿す部分の葉)を取り除いておこう。下葉があると水に挿すときに邪魔になるだけでなく、水の中で腐敗する恐れもあるんだ。
シンゴニウムが垂れるときの簡単な対処法 手順③水に挿して発根させる
下葉を取り除いたシンゴニウムのつるは水を張った容器に挿しておきます。
時期さえ間違わなければ比較的簡単に発根しますよ。茎に2~3節ほどあると発根しやすいです。
だいたい2週間くらいすると白い根っこが伸びてくる。根が3cmくらい伸びたら土に植えつけるよ。もちろんそのまま水差しで楽しむこともできるけど、株を大きく育てたいなら土に植えつけるのがおすすめ。
シンゴニウムが垂れるときの簡単な対処法 手順④土に植えつける
そのまま水差しで楽しむのもよいですが、発根した茎を土に植え付けてやると簡単にシンゴニウムをもう一鉢増やせます。
小さめの鉢に水はけの良い清潔な土を入れ、発根したシンゴニウムのつるを植え付けます。
しっかり根を張るまでは土が乾き過ぎないように気を付けてください。
生長によって垂れるシンゴニウムは切り戻しと挿し木で簡単に整えることができるよ。シンゴニウムは長く育てているとどうしても株元がスカスカになって垂れやすい。定期的に整えてすっきり可愛いらしい姿を保とう。
あわせて読みたい「観葉植物は置かない方がいい?室内でも清潔にグリーンを楽しむ4つの方法」
垂れるシンゴニウムをヘゴ仕立てにする方法
垂れるシンゴニウムはヘゴ仕立てにするという方法もあります。
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ヘゴ仕立てとは、鉢の真ん中に太い支柱(ヘゴ)を差してつるを絡ませ育てる仕立て方。つる性の植物によく使われる方法だよ。
以下は、垂れるシンゴニウムをヘゴ仕立てにする基本的な手順です。
垂れるシンゴニウムをヘゴ仕立てにする方法【準備するもの】
- 垂れるシンゴニウム
- 支柱(ヘゴ)➡プラスチック製のプラヘゴだと腐朽の心配が要らず室内でも快適
- 必要であれば水苔(プラヘゴの中に入れる)
- 園芸用ソフトワイヤー
- 水はけの良い土
- やや深さのある鉢(浅すぎると支柱がしっかりと安定しないため)
- 鉢底石
☆★ハサミで簡単にカットできるため高さ調節がしやすい「プラヘゴ」↓↓
垂れるシンゴニウムをヘゴ仕立てにする方法 手順①支柱を立てる
垂れるシンゴニウムを支えるための支柱(ヘゴorプラヘゴ)を鉢に立てます。
支柱は植物が伸びる方向に向かって立てましょう。
シンゴニウムはつる性の性質を持つため、支柱の周りに巻き付くように生長します。
太めのヘゴを鉢に立てるためには植え替え作業が必要になる。シンゴニウムは寒さが苦手。寒い時期の作業は控えてね。
垂れるシンゴニウムをヘゴ仕立てにする方法 手順②シンゴニウムを配置
シンゴニウムを支柱に巻き付かせる前に鉢に配置して植え付ける位置を決めます。
鉢の中央に支柱を立てたら、その周りにシンゴニウムを3~4株植えるとボリュームのあるタワーに仕上がります。
プラヘゴの場合、内部の空間に湿らせた水苔を入れておくとさらに根が絡みやすくなるよ。
垂れるシンゴニウムをヘゴ仕立てにする方法 手順③支柱に巻きつかせる
シンゴニウムの垂れる部分を支柱に巻き付かせます。
つるを支柱に巻き付ける際は、柔らかな手袋を着用して無理に引っ張らないようにしましょう。
つるを支柱に固定するときは、園芸用ソフトワイヤーや麻紐を使います。
ビニール紐(スズランテープ)よりは、自然素材の麻紐の方が自然な仕上がりになるよ。
垂れるシンゴニウムをヘゴ仕立てにする方法 手順④明るく風通しの良い場所で管理
シンゴニウムは明るい間接光を好みます。
適度な水を与え、適切な湿度を維持することでつるがヘゴに絡みつきやすくなります。
成長が旺盛なので、栄養を補給するために適切な肥料を定期的に与えましょう。
室内なら南~東向きの窓際に置くのが◎。適度な明るさと風通しがあると生育がさかんになるよ。春~秋は1ヶ月に2~3回、水で薄めた液体肥料を与えるのも◎。葉の色つやが良くなるよ。
あわせて読みたい「初心者でも使いやすくて効果的!観葉植物におすすめの肥料【厳選・3選】」
シンゴニウムが垂れる時にやってはいけないこと3つ
シンゴニウムが垂れて何となく調子がイマイチ…。
そんな時にやってはいけない3つのことをご紹介します。
シンゴニウムが垂れる時にやってはいけないこと①土が湿っているのに水遣り
葉が垂れてぐったりしてる…。とりあえず水遣りして様子をみてみよう。
この「何となくの水遣り」は危険です。
万が一根腐れを起こしている場合、土が湿っているのに水を与えると腐敗をさらに進ませてしまう原因になります。
水遣りの基本は「土が乾いてから」です。
シンゴニウムが垂れる時にやってはいけないこと②日光浴
葉が垂れて弱ってるみたい。ずっと室内に置いたままだし、今日は天気も良いからベランダで日光浴させてやるか。
この思い付きがシンゴニウムをさらに弱らせてしまう原因になることも少なくありません。
植物は「急激な環境の変化」にとてつもなく弱いのです。
明るい場所へ移動する場合は少なくとも2週間はかけて少しずつ明るさに慣れさせる必要があります。
シンゴニウムが垂れる時にやってはいけないこと③肥料
なんとなく調子が悪い。そうだ、肥料を与えて栄養をつけさせてみよう。
葉が垂れるからといって闇雲に肥料を与えるのはおすすめできません。
「葉が垂れる=少なくとも絶好調とは言えない状態」です。
肥料を与えることでさらに根に負担を掛けてしまう恐れがあります。
肥料を与えるのは株に元気があるとき。株が弱っている時は肥料よりも管理の見直しを。また、冬の肥料は基本不要。
あわせて読みたい「観葉植物がすぐ枯れる人がやりがちな間違ったお手入れ3つ」
シンゴニウムが倒れないようにするにはどこに置くのがいい?
シンゴニウムはつる性植物のため、生長とともにどうしても横へ横へと這うように広がっていきます。
ただし、葉と茎をつなぐ「葉柄」ばかりが伸びて弱々しく垂れるのは日光不足が主な原因です。
シンゴニウムを室内で育てるなら、南~東向きの窓際に置くのがベスト
シンゴニウムを色つや良く、丈夫に育てたいなら光と風が欠かせません。
室内に置くなら南~東向きの窓際に置き、十分な日光と風通しを確保しましょう。
ただし直射日光(窓を通さない光)は×。強い光で葉が傷む場合はレースカーテンで調節してみて。
春~秋にかけては屋外の半日陰~日陰に置くと色が鮮やかに出やすい
シンゴニウムの生育が盛んになるのが暖かい春~秋にかけて。
この時期は十分な日光と風通しに当てることで、よりピンク色が鮮やかに出やすいです。
あわせて読みたい「室内に置いてはいけない観葉植物はある?小さな子供やペットのいるお家での注意点」
ただし、屋外の直射日光は厳禁。高確率で葉焼けを起こす
ただし、シンゴニウムを屋外に置く場合は直射日光は厳禁。
なぜなら、シンゴニウムは強光によって葉が焼け傷む「葉焼け」を起こしやすいからです。
屋外に置く場合は遮光ネットを使うか、半日かげ~日陰(真夏)に置いてね。
シンゴニウムが倒れる原因は?茎が伸びすぎた時の仕立て直し方【まとめ】
今回は、シンゴニウムが垂れて樹形が乱れるときの原因と対処法をご紹介しました。
シンゴニウムの株元をよく見ると、徐々に横へ這うようにして茎が広がっているのが分かるかと思います。これがつる性植物の特徴ですね。
そのまま自然な姿を楽しむのもよいですが、シンゴニウムの場合は鉢の中でこんもり茂ったものを棚やテーブルなどにちょこんと飾っておきたい方も多いでしょう。
シンゴニウムをコンパクトに楽しみたい方は、今回の記事をご参考にして切り戻しに挑戦してみてはいかがでしょうか?
シンゴニウムが垂れる理由と対処法
- シンゴニウムが垂れる主な理由…半ツル性のため生長とともに株が垂れ下がるようになる、また、光線不足の場合は葉と葉の間隔が伸びてひょろひょろになることも。
- シンゴニウムが垂れて姿が乱れた時の主な対処法…生育がさかんな25度前後の暖かい時期に切り戻す⇒カットした茎を使って増やすこともできる
- ボリュームのある姿に育てたい場合…ヘゴ仕立てにするのも選択肢のひとつ。垂れるシンゴニウムのつるを支柱に留めてタワー状に仕立てる
シンゴニウムのその他topics
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