垂れ下がった子株が可愛らしい「オリヅルラン」。
ふわっと広がる葉と、ランナーから出た子株が、まるで折り鶴のように見えることから「オリヅルラン」とよばれるようになったとか。
ただ、生育旺盛なオリヅルラン。伸びすぎてお困りの方も多いのではないでしょうか。
今回は、観葉植物としても人気のオリヅルランが伸びすぎたときの対処法と、育て方のポイントを季節ごとにくわしく解説します。
ひょろひょろ伸びすぎたオリヅルランの仕立て直し方
まずは、オリヅルランが伸びすぎた時の対処法からみていきましょう。
子株が増えすぎてだらしない見た目になった場合
ランナーを伸ばして子株をどんどんと増やすオリヅルラン。しかし、子株が増えすぎて見た目が悪くなったときは、ランナーをカットし子株を切り離しましょう。
切り離した子株はそのまま土に植えるか水に浮かべると発根し、新しい株を増やすこともできます。
子株で新しい株を増やす場合は、できるだけ大きく育った子株をカットしましょう。生長した子株はすでに根元から根っこが生えているはずです。(下写真)
葉が長く伸びすぎた場合
オリヅルランは生育旺盛な植物です。春先には小さかった株でも秋には2倍、3倍ほどに大きく育ちます。
株が大きくなるとともに葉の長さもどんどん伸びていきます。
長いと感じた葉は途中で切っても構いませんが、あまり切りすぎるとさすがに株が弱ってしまいます。
どうしても場所が取れないという場合は、子株から育てなおすことも検討しましょう。
オリヅルランは春から秋にかけて大きく育つ
実際に、どれくらい大きくなるかをご覧ください。
下写真は3月頃にポット苗で購入したオリヅルランです。直径5cmほどのビニールポットに植えられたオリヅルランは片手で持てるほどの大きさと軽さです。
そして、約6か月が経過したオリヅルランが下写真になります。
たった半年程度でこんなに大きくなります。もう重くて片手で持つのは難しいです。ランナーを伸ばして子株もどんどん増やすのがオリヅルランです。
「オリヅルランは大きくなるもの」と認識しておきましょう。オリヅルランが大きくなるということは、それだけ上手に育てられている証拠でもあります。
オリヅルランの育て方【季節別で徹底解説します!】
それでは、オリヅルランの時期別の管理方法をご紹介します。
オリヅルランの育て方【春】
春から秋にかけてはオリヅルランの生長期です。
土が乾いたらたっぷりと水を与えます。年間を通して日当たりのよい場所に置くと子株がでやすくなります。
ただし、直射日光は葉焼けの原因になりやすいです。
オリヅルランの生育に適しているのは「レース越しの日差し」や「半日陰」になります。
オリヅルランの太い根っこ
オリヅルランの根っこはまるで白いごぼうのように太い部分があります。これは、水分を蓄えるための特殊な根っこです。
そのため、オリヅルランは乾燥に強いという特徴をもちます。その反面、多湿には弱く注意が必要です。水やりの際は、必ず土がしっかりと乾いているか確認します。
半日陰とは?
- 日光の当たっている場所のすぐ隣の陰
- 木漏れ日のような日光が当たってたり当たってなかったりする場所
(ルクス値は、約10000~15000)
「中斑と外斑」
オリヅルランの葉をよく見ると、白いラインが入っています。実はこの白いライン、内側に入っているタイプと外側に入っているタイプが存在します。
葉の中央に白ラインがあるタイプは「中斑」、外側に白ラインがあるのは「外斑」とよばれます。ただ、この違いはほとんど気づかれることがないようです。
オリヅルランの育て方【夏】
オリヅルランは暑さに強いため屋外での夏越しが可能です。ただし、直射日光は葉焼けを引き起こすため避けます。
葉っぱの先が茶色い
また、葉先が茶色っぽく変色していたら「根詰まり」のサインです。
オリヅルランは根詰まりしやすいため、鉢底から根っこがはみ出ていたら、一回り大きめの鉢に植え替えます。
上写真くらい根詰まりしていたら、株の下部の葉が黄色や茶色に変色してくるはずです。
土は水はけの良いものを使いましょう。
観葉植物用の土に赤玉土や鹿沼土、パーライトを1/3程度混ぜるとより水はけにすぐれた土になります。
排水性を確保するための鉢底石もお忘れなく。
例)「市販の観葉植物用の土:赤玉土(小粒):パーライト」=「5:4:1」 ここに緩効性肥料を混ぜ込む
また、元肥として緩効性肥料を土に混ぜ込んでおくのもおすすめです。
鉢底から根が出ていなくても根詰まりしていることもある
オリヅルランの根は太さがあるため、鉢底の穴が小さめな場合、根詰まりしていても根が出ていないこともあります。
下写真は、オリヅルランの鉢底です。葉先が枯れる葉が続出したため覗いてみましたが、穴から根が出ていませんね。
しかし、実際に鉢から株を取り出して見ると…、
↓↓
根がびっしりと詰まって根詰まりを起こしていました。このようなケースも多いため、分からなければ一旦、鉢から株を取り出して見るのが手っ取り早いです。
緩効性肥料とは?
土に混ぜるだけで約一年効果が持続します。水やりの度に少しずつ成分が溶けて効き目を発揮するのが緩効性肥料です。
商品名では「マグアンプ」が有名。「生育をよくして子株をたくさん出させたい」という場合はこのような肥料を使うのもおすすめです。
オリヅルランの育て方【秋】
寒さが増してくると生長はひと段落します。最高気温が20度以下になったら徐々に水やりを控え目にして冬場に備えましょう。
ただし、ちょこちょこと水やりしていると根が呼吸できずに腐ってしまいます。「土が乾いて1日程空けてから水を与える」ようにするとよいでしょう。
植え替えは秋までに
植え替えは気温が安定している9月頃までに済ませましょう。オリヅルランの根っこは部分的に肥大しています。
そのためか、オリヅルランは非常に根詰まりを起こしやすい植物です。少なくとも2年に一回は植え替えを要します。
ちょっと面倒ですが、一年に一度は植え替えて根詰まりを防ぎましょう。基本は「ひと回り大きめの鉢に植え替え」です。
ただ、オリヅルランの場合、根の生長が早く非常に根詰まりしやすいです。そのため、ふた回り程度大き目の鉢をチョイスしてもいいかもしれません。
ただし、大きすぎる鉢は水の管理が難しく根腐れを起こしいやすいので避けましょう。
植え替えの際に、株分けしてもうひと鉢増やすのもおすすめです。
オリヅルランの育て方【冬】
寒さに強いオリヅルランは、0度くらいまで耐えられます。また、冬場はオリヅルランの生長が緩慢になる「休眠期」です。
株姿を綺麗に保つなら10度以上を保つ
室内で管理する場合は日当たりの良い場所を選びます。0度を下回らなければ屋外での管理も可能。関東より以西では屋外の植え込みとしても多く見かけます。屋外で越冬させる場合は水やりは控え目にしましょう。(目安は月1~2回程度)
ただ、株姿を綺麗に保つならやはり室内で管理するのが無難。ただし、日光不足が続くと「徒長(とちょう)」しやすいので気を付けましょう。
徒長したオリヅルランは間延びしてひょろひょろと弱々しい姿になります。徒長は見た目を劣らせるだけではありません。
ちょっとした環境の変化や病害虫に対するストレスも受けやすくなるため注意します。
冬場は水やりを控え目に…
休眠期に入ったオリヅルランは、水を吸う力自体が低下しています。
そのため、春~秋と同じ感覚で水やりしていると、加湿によって根が腐る「根腐れ」をひきおこしかねません。
吸いきれずに残った水分が長く鉢内に停滞するためです。
冬場は土が乾いて3日程経ってから、やや控えめに水を与えます。表土全体が湿る程度でok。
オリヅルランは吊るして飾る「ハンギング」がぴったり
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オリヅルランの魅力は何といってもランナーから出た子株。ハンギングすることで、この魅力がさらに増します。
また、室内での管理はどうしても湿気がこもりやすく、根腐れを招きやすいです。ハンギングすることで鉢の通気性をよくし、高湿による根腐れやカビを防ぎます。
ハンギングする際は、軽くて割れる心配のないプラスチック鉢を利用します。
少し高さのある鉢植えに鉢底石を多めに敷き込み植え付けても可愛いでしょう。色々な飾り方で楽しんでみてくださいね。
ひょろひょろ伸びすぎたオリヅルランの仕立て直し方【まとめ】
今回はオリヅルランが伸びすぎた時の対処法と、育て方のポイントをくわしくご紹介しました。
オリヅルランは日当たりを好む植物ですが、直射日光は注意が必要ですね。とはいえ、生育旺盛で春~秋にかけての管理も楽で育てやすいオリヅルラン。
今回の記事を参考に、ぜひ、魅力いっぱいのオリヅルランを育ててみてください。
オリヅルランが伸びすぎた時の対処法
- 子株が増えすぎた場合はランナーをカットし切り離す
- 葉が伸びすぎた場合は途中でカットする(ただしやり過ぎは株を弱らせる原因にもなりうる。オリヅルランは大きく育つ植物と認識する。)
オリヅルランの育て方【春】
- 日当たりの良い場所で管理、強すぎる日光には注意
- 土が乾いてからたっぷりと水やり
- 根詰まりしていたら植え替える
オリヅルランの育て方【夏】
- 直射日光を避ける
- 土が乾いたらたっぷり水やり(土が温まることで根が傷む可能性あり。夜の水やりがおすすめ)
オリヅルランの育て方【秋】
- 植え替えはこの9月頃までに済ませる
- 最高気温が20度を下回ってきたら水やりをやや控えめにする
オリヅルランの育て方【冬】
- 土が乾いて2、3日してから控え目に水を与える(表面が全体的に湿るくらい)
- 日当たりの良い場所で管理
- 株姿を綺麗に保つには最低でも10度程度は保つ