カネノナルキは葉を発根させて株を増殖させる「葉挿し(はざし)」ができます。
とはいえ、なかなか根が出ない…とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、カネノナルキを葉挿しで増やす方法と、なかなか根がでない理由について解説します!
カネノナルキの葉挿しで根が出ない原因は?
葉の選び方が適切でない
健康な葉を選びましょう。病気や傷のある葉では成功率が下がります。
葉の付け根に生長点があるため、枝から葉を外すときは優しくひねるようにすると、付け根からうまく取れます。
葉の付け根が千切れている
カネノナルキの葉から根を出すためには、葉の付け根に生長点が残っていなければなりません。
葉の付け根が千切れていると生長点が残っていないため、どれだけ待っても根が出ません。
発根前の水やり
カネノナルキの葉は水分を沢山蓄えているため、根が出るまでは水やりしなくても問題ありません。
土が長く湿りすぎると葉が腐る原因になります。経験上、根が出るまでは基本的に水は不要です。
直射日光
直射日光は避け、明るい間接光が当たる場所に置きましょう。
直射日光が当たると葉が焼けて根が出ないことがあります。
適期ではない(梅雨~夏、冬は避ける)
カネノナルキの葉挿しを成功させるなら、春か秋におこなうのがベストです。
寒すぎると成長が遅くなり、葉挿しの成功率が低くなります。理想的な温度は20〜25℃程度です。
保水性の高すぎる土
水はけの良い土を使用しましょう。
一般的な園芸用土ではなく、多肉植物専用の土か、砂やパーライトを混ぜた土が適しています。
葉を乾かす期間が短すぎる
葉を取り外した後、切り口を乾かす時間が必要です。
少なくとも1〜2日乾かしてから土に挿しましょう。
土に深く挿しすぎる
葉は土に浅く挿しましょう。深く埋めすぎると腐る原因になります。
土の上に軽く置くようにして、根が出るのを待ちます。
カネノナルキの葉挿し手順を画像付きで解説します
カネノナルキの葉挿しに特別な道具は不要です。
ただ、ひとつの株として観賞価値を得られるまでには最低でも3年ほどかかります。
準備するもの
- 健康なカネノナルキの葉
- 多肉植物やサボテン専用の土
- 小さな鉢か容器
葉の選定
健康で病気や傷のない葉を選びます。
大きくて厚みのあるしっかりした葉を選ぶことで失敗を防ぎます。
葉を取り外す
葉を親株から慎重に取り外します。茎から直接外すか、鋭利なナイフや剪定ばさみを使って切り取ります。
葉を指でつかみ、サイドにひねるようにすると付け根から綺麗に外れやすいです。
葉を乾燥させる
葉を風通しの良い場所で1〜2日間ほど乾かします。
切り口を乾燥させることで腐りにくくなります。
土の準備
鉢に多肉植物専用の土を入れます。水はけが良い土を使うことが重要です。
肥料分を含まない清潔な土を使います。
葉を土に置く
葉を土の上に軽く置きます。土に浅く挿す必要はありません。
切り口が土に触れるようにするだけで十分です。
水やり
葉から根が出るまでは水やりは基本不要です。
葉の付け根から白い根っこが出始めたら、土の1/3が湿るくらいの量の水を与えます。
直射日光を避けた明るい場所で管理
葉を置いた鉢を明るい場所に置きますが、直射日光は避けましょう。
明るい間接光が最適です。温度は20〜25℃が理想的です。
発根の確認
うまくいけば、数週間から数か月で葉の付け根から白い根が出てきます。
根が確認できたら、通常の多肉植物と同じように水やりを開始しましょう。
注意点
- 葉挿しに使う葉を茎から外す際は、葉の付け根が千切れないよう慎重に外す
- 根が出るまでは水やりは基本不要。土が5日以上湿り続けると葉が腐りやすいため注意
- 寒い季節や高温多湿に晒される時期は根が出ないor出にくい
カネノナルキを葉挿しで育てる【3年間の栽培記録】
ここからは、筆者が実際にやってみたカネノナルキの葉挿しの様子を綴ってみたいと思います。
親株から葉を取る【2021/3/30】
親株からカネノナルキの葉をとりました。腐敗を防ぐため、数日乾燥させます。
乾燥せずにそのまま挿してもいいらしいですが、濡れていると雑菌が入り込むリスクが高いので念のため乾燥させます。
土に挿す【2021/4/22】
土に挿して1か月弱です。特に変化は無し。水やりはまだしません。
発根を確認【2021/4/29】
葉挿しにして約1か月経ちました。そっと、葉を持ち上げてみましょう。
発根してるかな?
2枚のうち、1枚に小さな根が確認できました。このまま風通しのよい場所で管理します。
水やりは、土がカラカラな場合のみ、控えめに(土が湿る程度に)おこないます。
芽が出てきた【2021/6/12】
やっと、葉の付け根から小さな葉が出始めました。ここまでくれば、あとは大きくなるのを待つのみですね。
葉挿しで株を増やすのはかなり時間がかかるということが分かります。
少しずつ育つ新芽【2021/9/3】
かなり大きくなり株らしくなってきました。
葉挿しにすると黄色い斑が消えるそうなのですが、左側の葉に少し斑が出現しているような気が…。
右の葉は完全に緑ですね。
ちょっとでも斑が残ってくれたら嬉しいですが、今後どうなるでしょうか。
ここまでの管理方法
- 置き場所は半日陰、直射日光は避けた
- 水やりは月に2回程度、カラカラに乾いていたら土が湿る程度に
- 風通しの良い屋外で管理
葉数が増えてきた【2021/11/5】
日に日に存在感が増してきました。寒さが少しずつ増してきましたが、変わらず屋外で管理しています。
最低気温は10度程度でしょうか。ただ、まだ鉢植えに植えつけるには小さいです。
寒さが深まって赤く紅葉【2021/12/8】
朝晩は2度くらいまで気温が下がる日も増えてきました。相変わらずベランダに出しっぱなしにして乾燥気味に管理しています。
葉の縁が赤く染まってきました。この変化が多肉植物の醍醐味ですね。
季節の移ろいを感じることができます。そして可愛い。
真夏よりも寒い時期の方が葉の色つやがよく見えます。
寒さに負けじとどんどん育つ【2022/2/17】
今年はなかなか暖かくなりません。
近頃は最低気温が0度前後、最高気温が10度いかないくらい。ちなみに今日は最低気温がマイナス2度、最高気温が4度です。
ただ、ベランダに置きっぱなしのカネノナルキの葉挿しは相変わらず元気そうですよ。
去年の12月の様子と比べ、さらにモリモリと生長しているのが分かります。
カネノナルキは5度程度までしか耐えられないと聞きますが、むしろ屋外で乾燥気味に放置しておいた方がよく育つような気がします。
そして、斑入りの植物は葉挿しにすると斑模様が消えてしまう、と聞いていましたが、写真左側の葉はクリーム色に見えますね。
葉挿しでも斑が消えないこともあるのかな…?
まだまだ生長が楽しみですね。かなりボリュームが出てきたので、暖かくなったら小さめの素焼き鉢に植え替えようと思います。
素焼き鉢に植え替え約1か月が経過【2022/5/25】
その後、容器内がかなり窮屈そうになってきたので、暖かくなった4月下旬に素焼き鉢へと植え替えました。
生長期を迎えて一気に大きくなりましたね。そして、一番最初の葉がそのお役目を終えたようです。
気付いたらカリカリに乾燥していました。ピンセットでそっとはずします。
一年以上、子株を育てるために頑張ってくれましたよ。想像以上に一枚の葉にはたくさんのエネルギーが蓄えられているのですね。
もう一枚の元の葉はまだまだ元気そうです。そして、2枚葉挿ししましたが、片方のみ斑が消えずに残っています。
「葉挿しにすると斑が消える」と聞いていましたが、残ることもあるようです。
植え替えから約3か月経った【2022/7/25】
夏を迎えて水やりはかなり控え目にしています。やはり、斑入りよりも緑色の方が生長が早いですね。
斑入りの方は緑色に圧倒されてます。
そして、一年以上頑張ってくれていたもう片方の葉が役目を終えました。(下写真)
▲元株の斑入り葉が無くなって一気に緑が多くなりました
カリカリに枯れた元株の葉。無事に独り立ちできたようですね。
緑と斑入り、行く行くは別々の鉢に植え替えた方がよいのかもしれません。ただ、3か月前に植え替えたばかり。
しばらくはこのまま様子をみます。まずは水のやり過ぎに気を付けつつ、厳しい真夏を乗り越えます。
切り戻し【2022/11/1】
厳しい夏を越したのはいいものの、やはりクリーム色の斑入りより緑色の個体の方が生長が早いですね。
ちょっとアンバランスなので緑色の方をカットしました。
こんな感じ。これで冬を越します。できればクリーム色の方ももっと生長させたいところ。
やはり、分けて育てるのがいいかもですね。
葉挿しから3年経ちました【2024/5/25】
いい感じにこんもり育ちました。
クリーム色の斑も少しだけ残っています。
カネノナルキの葉挿し手順!根が出ない原因は?【まとめ】
- カネノナルキの葉挿しで根が出ない時によくある原因には、「葉の選び方が適切でない」「葉の付け根が千切れている」「発根前の水やり」「直射日光」「寒すぎ・暑すぎ」「保水性の高すぎる土」「深く挿しすぎる」「乾燥期間が短い」などがある
カネノナルキの葉挿し手順
カネノナルキの葉挿しを成功させるなら、もっとも失敗が少ないのが春先で、その次が秋です。
- ハリと厚みのある大きめの葉を選ぶ
- 葉の付け根が千切れないよう慎重に茎から外す
- 葉の付け根を数日乾燥させる
- 乾いた土の上に置く
- うまくいけば1か月くらいで根が出る
- 軽く土に挿し、土の約1/3が湿るくらいの量の水を与える
- 直射日光を避けた明るく風通しの良い場所で管理を続ける