室内でも清潔に植物を育てられる人気の栽培方法「ハイドロカルチャー」。
観葉植物をより衛生的に管理できる上に、見た目も涼し気でおしゃれなことから、インテリアとしても人気なのがハイドロカルチャーです。
しかし、ハイドロカルチャーにはデメリットも存在します。
ハイドロカルチャー「木炭」で植物を育てるデメリットとは?
「清潔で室内でも育てられるハイドロカルチャー」。一見、デメリットなんて見当たりません。
実は、ハイドロカルチャーの最大の特徴である「土を使用しない」ということにいくつかのデメリットが隠れているよ。
再利用しにくい
木炭チップの場合、ハイドロボールに比べると再利用する際に洗浄しにくいです。
ザルに入れて水洗いすれば繰り返し使えますが、チップ自体が細かいのでハイドロボールに比べると扱いにくいかもしれません。
大きく育ちにくい
ハイドロカルチャーは一見、土で育てているように見えますが土を使わない水耕栽培です。
長い期間をかけて植物を大きく育てたい・育つ過程を長く楽しみたい・挿し木や株分けで増やしたい、という方にはあまり向きません。
大きく育てたいならハイドロカルチャーより土がおすすめ
水耕栽培である以上、どうしても土には敵わない面が多いのです。
とはいえ、あまり直射日光を好まない多くの観葉植物にとっては、ハイドロカルチャーが向いている場合もあります。
特に、ポトスやモンステラ、スパティフィラムやシンゴニウムなどのサトイモ科の観葉植物は、直射日光で葉焼けを起こしやすいという特徴があります。
これらのサトイモ科の観葉植物は比較的に水を好む性質も持つため、ハイドロカルチャーと相性が良いんだ。
水やりのタイミングが難しい
ハイドロカルチャーで使用するハイドロボールはスポンジのような構造になっており、素材自体が水分を多く含めるようになっています。
そのため必要以上に水を与えていると根が呼吸できずに傷んで腐る「根腐れ」を引き起こしやすいです。
根腐れに発展すると、高い確率でそのまま腐敗し枯れてしまいます。
ハイドロカルチャーの水遣りは容器内の水位が底を付いてからが基本
ハイドロカルチャーの水やり方法は、時期や植物の種類にもよりますが、「水分が容器の底についてから」が基本です。
この感覚をつかむまでは「ハイドロカルチャーは水を足すタイミングが分かりにくい…」と感じることもあるかも。
向かない植物もある
日光を多く必要とする植物にはハイドロカルチャーは向きません。
その理由は、ハイドロカルチャーを直射日光に当てると内部の水が煮えて根が傷み根腐れを起こしてしまうからです。
乾燥状態を好む多肉植物やサボテンはハイドロカルチャー向きではないかも…
たとえば、多肉植物やサボテンはハイドロカルチャーで育てるのはなかなか難しいでしょう。
もちろん、水やりのタイミングや管理のコツがつかめるようになれば挑戦してみる価値はあります。
初心者がいきなり多肉植物をハイドロカルチャーで育てるのはかなり難易度が高いよ。管理に慣れてきたら挑戦してみてね。
ハイドロカルチャーで植物を育てるメリットとは?
まずは、ハイドロカルチャーで植物を管理するメリットから見てきましょう。
ハイドロカルチャーのメリット①土を使わないため清潔
まずハイドロカルチャーのメリットとして一番にあげられるのが「土を使わない」ということです。
土を使わないということは、虫が湧きにくく室内でも安心して植物を楽しむことが出来ます。
土の代わりにハイドロカルチャー用土を使う。だから虫が湧きにくい!
ハイドロカルチャーでは、土を使わない代わりに人工の石を使用します。
商品によっても呼び名は異なりますが、「ハイドロコーン」や「ハイドロボール」「セラミス」「木炭チップ」などがハイドロカルチャー用の用土として販売されています。
ハイドロカルチャーのメリット②見た目がおしゃれ
ハイドロカルチャーは透明な容器にハイドロボールを入れて植物を植え付けます。透明な理由は、水位を把握するためです。
しかし、その涼し気な姿がインテイリアによく馴染みおしゃれな雰囲気を醸し出してくれます。
根が見えにくいから綺麗な見た目をキープしやすい
もちろん、水のみの水耕栽培も魅力的ですが、根が伸びきってくるとどうしても中で根がぐるぐるととぐろを巻いて見た目が気になるところです。
ハイドロカルチャーなら、根がほとんど見えないため、いつまでもおしゃれで清潔な印象を与えられます。
ハイドロカルチャーのメリット③水やりの手間が少なく済む
ハイドロカルチャーは人工用土を使用します。土での管理に比べて水やりを頻繁にする必要がありません。
水遣りは容器内の水位が底をついてからでok
逆に、水をやり過ぎてしまうと根が呼吸できずに傷んで腐る「根腐れ」を起こす原因にもなります。
育てるための手間が少なく済むというのも、ハイドロカルチャーで植物を育てるメリットといえるでしょう。
ハイドロカルチャーで使用するハイドロボールやハイドロコーンは土ではなく人工的に作った石のため、洗って何度でも使えます。
そのため、ハイドロカルチャーは経済的でエコな栽培方法といえるでしょう。
汚れを落したら直射日光に当てて十分に乾燥させる
粒の大きなものであれば清浄も比較的簡単。
繰り返し使うのであればボールタイプのハイドロカルチャーが扱いやすくておすすめです。
あわせて読みたい「ハイドロボールを再利用する方法を画像付きで解説します!」
ハイドロカルチャーのデメリットをカバーするためにすべきこととは?
とはいえ、ハイドロカルチャーは「室内で植物を清潔に管理できる」という大きな魅力をもつ栽培方法です。
できるだけデメリットを回避しつつハイドロカルチャーを楽しむコツをいくつかご紹介します。
ハイドロカルチャーのデメリットをカバーする方法①水耕栽培用の栄養剤を活用
ハイドロカルチャーは土を使用していないため、外から養分を補充してあげる必要があります。
ハイドロカルチャーに適しているのは「水に溶けやすい栄養剤」です。
ハイドロカルチャー専用の活力剤もある
上写真の「ハイポネックス キュー」は、ハイドロカルチャーの内部の水の量100mlに対して1/2目盛り(5ml)程与えます。
容器のサイドに目盛りがついているため分かりやすいです。
ハイドロカルチャー容器内の水分が50ml程度なら、肥料は1/4目盛り程度ですね。
ほんのちょこっと入れる感じです。細いノズルが付いているので、使いやすいですよ。
肥料を与える時期は春から秋の生長期
土で育てている観葉植物と同じく、ハイドロカルチャーでも肥料を与えるのは生長が旺盛な春から秋にかけてが基本です。
目安は2週間に1回~月に1回程度。植物の様子を観察しつつ調整します。
気温が低くなる冬場は「なんとなく元気がないな…」と感じ、ついつい水や肥料を与えてしまいがちですが、これは逆効果。根腐れを招いてしまう場合もあります。
葉の乾燥が気になる場合はこまめに葉水をしたり、加湿器を活用するのがおすすめです。
ハイドロカルチャーのデメリットをカバーする方法②サスティーを活用
慣れるまではなかなか難しいハイドロカルチャーの水やり。
ハイドロカルチャーの水やりの基本は以下のようになっています。
ハイドロカルチャーの水やり【目安】 ・春から秋にかけて(最高気温が15度以上) →容器の水が底をついてから容器の1/5~1/4程度の水を足す ・冬(最高気温が15度以下) →容器の水が底をついて2、3日してから容器の1/5~1/4程度の水を足す
難しい水遣りのタイミングを楽にしてくれる便利なアイテムも
「なかなか水やりのタイミングが分からない…」「こまめに容器をチェックするのは面倒」「できるだけ枯らしたくない」
このような場合に便利なのが「サスティー」です。用土に挿しておくだけで水やりのタイミングを色でお知らせしてくれる便利アイテム。
プロと同じタイミングで水やりができ、根腐れのリスクを可能な限りゼロに近づけてくれます。もちろん、ハイドロカルチャーにも使用可能です。
ハイドロカルチャーのデメリットをカバーする方法③向いている植物をチョイス
そもそも、ハイドロカルチャーに向かない植物をチョイスすると失敗する可能性が高くなります。
まずは、ハイドロカルチャーで育てやすい植物を選びましょう。
ハイドロカルチャーと相性の良い植物が持つ3つの条件とは?
①あまり強い日光を必要としない(直射日光に弱い) ②生長速度が比較的にゆっくり ③比較的に水を好む植物(根腐れしにくい) 、水差しで発根しやすい植物
これら3つの条件を満たす植物の例は、ポトス、アイビー、フィロデンドロン、スパティフィラム、テーブルヤシなどがあります。
他にも、条件に合いそうなお気に入りの植物を探してみてください。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーの植物が枯れる原因は?育て方のコツ3つ」
ハイドロカルチャー用土の種類とそれぞれのメリット・デメリット
ハイドロカルチャーと一言でいってもさまざまなハイドロカルチャー用土があります。
- ハイドロカルチャー初心者におすすめの用土➡ハイドロボール、ハイドロコーン
- ハイドロカルチャー上級者におすすめの用土➡木炭チップ、アクアジェリーなど
- ハイドロカルチャーをインテリアとして楽しみたい人におすすめ➡カラーサンド
それぞれのメリットとデメリットを見てみよう!
ハイドロカルチャー用土①ハイドロボール、ハイドロコーン
ハイドロボールは土のようにみえますが人工の石です。
粘土を高温度焼き上げ発砲状のボールにしたものを「ハイドロボール」や「ハイドロコーン」とよびます。
ハイドロボールには無数の気泡が存在するため多孔質です。
この穴に空気を含むことができるため、植物が育つための水分と空気を根に送り込めます。
ハイドロボールのメリット
- 比較的手軽、安価に入手できる
- 洗って繰り返し使える
- 容器内の水位が確認しやすく水遣りのタイミングが掴みやすい
ハイドロボールのデメリット
- 長く使っていると表面に白い汚れが付きやすい
あわせて読みたい「ハイドロボールの表面が白くなるのはなぜ?原因と対処法!」
ハイドロカルチャー用土②木炭チップ
見た目が涼し気でおしゃれな炭チップは、ホームセンターや園芸店などに売られています。
木炭チップのメリット
- 見た目が涼し気でおしゃれ
- 脱臭・除湿効果が得られる
- 病害虫の発生が少ない衛生的
木炭チップのデメリット
- 再利用できるがチップなので洗浄しにくい
- 真っ黒なので熱を吸収しやすい
- 容器内の水位が確認しにくく水遣りのタイミングが難しい
ハイドロカルチャー用土③カラーサンド
透明の容器から見える色とりどりのカラーサンド。
ハイドロカルチャーの中でももっともインテリア性が高く、雑貨店で見かけることも多いのがカラーサンドのハイドロカルチャーです。
カラーサンドのメリット
- インテリア性が高く見た目がダントツにおしゃれ
- さまざまなデザインが楽しめる
カラーサンドのデメリット
- 容器内の水位が確認しずらく根腐れを起こすリスクが高め
- 内部が狭く、長く育てる栽培としてはあまり向かない
ハイドロカルチャー用土④アクアボール、アクアジェリー
水で膨らむタイプのぷよぷよとしたボールやジェリーもハイドロカルチャー用土として人気があります。
アクアジェリー、アクアボールのメリット
- 涼し気でおしゃれな見た目。カラフル
- 洗って繰り返し使える。洗浄しやすい
アクアジェリー、アクアボールのデメリット
- 容器内の水位が分かりにくく水遣りのタイミングが難しい
ハイドロカルチャー「木炭」のデメリットは?お手入れのコツと解決策【まとめ】
今回は、ハイドロカルチャーのメリット・デメリットと、デメリットをカバーするための対処法をいくつかご紹介しました。
デメリットはあるものの、室内で清潔に植物を楽しめるハイドロカルチャーは有難い栽培方法ですよね。
特に、虫が苦手な方にとっては安心して観葉植物を楽しむことができるハイドロカルチャーは魅力的なのではないでしょうか。
今回の記事をご参考に、ハイドロカルチャーの植物を少しでも長く育ててあげてくださいね。
ハイドロカルチャーのメリット、デメリット+デメリットへの対処法
・土を使わないため清潔、衛生的な管理ができる ・見た目がおしゃれ、インテリア性にすぐれる ・水やりの手間が少なく管理が楽 ・用土は繰り返し使えるためエコである
ハイドロカルチャーのデメリットと対処法 ・大きく育ちにくい →ハイドロカルチャー専用の液肥を活用 ・水やりのタイミングが難しい(慣れるまでは) →「サスティー」を活用 ・ハイドロカルチャーに向かない植物もある →向いている植物をチョイスすることで失敗を防ぐ
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