観葉植物を丈夫に、色つやよく育てるために欠かせない肥料や活力剤。ホームセンターや園芸店には数多くの肥料や活力剤が並んでいますね。
でも、肥料と活力剤の違いをご存じですか?また、どんな時にどちらをチョイスすべきかイマイチ分からない…という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、観葉植物を丈夫に育てる上で必要な肥料と活力剤の違いと、観葉植物の状態に合わせたそれぞれの使い方の目安をくわしくご紹介します。
メネデール(活力剤)とハイポネックス(肥料)の違いとは?
▲液体肥料「ハイポネックス(原液)」
肥料として広く知られているのが「ハイポネックス」です(上写真)。
昔からある定番の液体肥料で、一度は聞いたことがあるという方も多いでしょう。
次に、活力剤でよく知られているのが「メネデール」や「アンプル剤(逆さにして土に挿すタイプのグリーンの容器のもの)」「リキダス」などです。
肥料と活力剤。何となく似ている両者ですが、肥料と活力剤は同じものなのでしょうか?
肥料か活力剤かは「窒素・リン酸・カリ」の含有量で決まる
そもそも、肥料と活力剤って何か違いがあるの?
まずはじめに、活力剤は肥料ではありません。肥料と活力剤はまったく異なるものです。
肥料は、窒素・リン酸・カリなどの植物が大きくなるための栄養素を、法律で定められた数値以上含むものをさします。
それに対し、活力剤は少量(肥料に満たない量)の窒素・リン酸・カリなどの養分と「微量要素(ビタミン、アミノ酸など)」を含むものや、微量要素のみを含むものなどをさします。
肥料は肥料取締法と言う法律により、製品に含まれる肥料成分の含有量が定められていて、その基準に満たない製品は「肥料」という名称では販売できません。そのため、低濃度の製品は「活力剤」として販売されます。
人に例えると「肥料=栄養分(主食)」「活力剤=栄養補助食品、サプリメント」のイメージ
肥料と活力剤の違いは法律で定められているということが分かった。
じゃあ、結局、観葉植物に必要なのは「肥料」と「活力剤」どっち?
人に例えた場合、主な栄養補給手段となるのが毎日の食事ですね。これが、観葉植物にとっての肥料といえるでしょう。
そして、毎日の食事で足りない分の栄養素を、各種サプリメントや栄養補助食品などで補っている方も多いのではないでしょうか。これが、観葉植物にとっての活力剤のイメージです。
つまり、観葉植物の状態により、「肥料を使うべきか?活力剤を使うべきか?」「両者を併用すべきか?」「何も使わない方がいいのか?」などと、選択肢がいくつかに分かれます。
肥料と活力剤の使い方とは?【観葉植物の状態別で解説します】
じゃあ、具体的に観葉植物がどんなときに肥料や活力剤が必要になるの?
ここからは、肥料と活力剤の使い方の具体例をご紹介します。あくまで目安ですので、ご参考までにご覧くださいね。
ケース①観葉植物の元気がない、ぐったりしている
「観葉植物の元気がない、ぐったりとして弱っている…」
このような場合、つい肥料を与えたくなりますが、観葉植物が弱っている状態での施肥は、逆に根を傷めてしまう原因になりえます。
この場合、まずは置き場所や生育環境の見直しから始めましょう。
たとえばポトスであれば、
「直射日光が当たっていなかったか?」「水やりを忘れていなかったかorやりすぎていなかったか?」「10度以下の寒さに当たってなかったか?」「根詰まりを起こしていないか?(2年以上植え替えていない)」
等がチェックポイントです。
▲ポトスやモンステラなどのサトイモ科は直射日光でダメージを受けやすい
管理環境を見直した上で活力剤を使ってみるのもアリ
- 選択肢①…肥料も活力剤も与えない。管理方法を見直し株が復活するのを待つ←ちなみに筆者はこちら
- 選択肢②…管理環境を見直した上で、他に思い当たる原因が見つからないなら、活力剤を与えて様子をみる。弱っている段階で肥料は与えない。
ケース②観葉植物を大きく、丈夫に育てていきたい
「今ある観葉植物をより丈夫に、大きく育てていきたい」「株分けで増やして楽しみたい」などという場合、肥料を適切に与えた上で、必要に応じて活力剤を併用するのもおすすめです。
観葉植物は大きく育てることで、株分けしたり挿し木にして簡単に増やすこともできます。育てるだけでなく、増やす楽しみも求める方には肥料はもちろん、活力剤をうまく活用することがおすすめです。
ただし、観葉植物の多くは熱帯地方が原産のため、15度以下になると生育が緩慢になる休眠期を迎えます。この時期は、肥料を与える必要がありません。
不要な肥料は逆に株を傷める原因となります。また、肥料や活力剤を与える場合、まずは鉢内が根詰まりを起こしていないかを確認しましょう。
根でいっぱいになっている状態で肥料を与えた場合、そのまま根にダメージを与える恐れがあるからです。もちろん、肥料の与えすぎもいけません。
▲面倒でも使い方をしっかりと確認しよう
不要な時期の施肥や肥料の施し過ぎは「肥料焼け」の原因にもなります。それぞれの肥料や活力剤に記載された使用方法をよく確認して使いましょう。
気温が安定して20度~25度くらいなら肥料を与えよう(ただし、根詰まりしていないことが条件)
▲ハイポネックス(液体肥料)
- 春~秋(20度~30度程度)…ハイポネックス(液体肥料)であれば、2週間に1回ほど約500倍に薄めたものを水やりとして与える。活力剤を併用するのもよい。挿し木で増やす場合は「メネデール 植物活性素(活力剤)」を挿し穂に給水させると発根のサポートをしてくれる。
- 冬(15度以下)、真夏(30度以上)…基本、肥料や活力剤は不要。ただし、株の状態を見て「元気はあるもののなんとなく葉の色つやがよくない」という場合は活力剤なら試してみるのもあり。
- 植え替え後…メネデール(活力剤)は、植え替え後に水で約100倍に薄めたものを水やりとして与えると、根の生長をサポートしてくれる。植え替え後、土が乾いたタイミングで水に薄めたメネデールを3~4回ほど与えるのがおすすめ。
▲もっとも知名度のある活力剤といってもよい「メネデール」
ケース③観葉植物をあまり大きくしたくないが、葉の色つやはキープしたい
正直、観葉植物は室内のインテリアとして楽しみたい。だから、あんまり大きくしたくない。この場合、肥料や活力剤は使わずに水だけで育ててもいいの?
観葉植物を育てている方の中には、「あくまで室内のインテリアとして楽しみたい」という方も多いでしょう。この場合、もちろん水だけで育てることもできなくはありません。
しかし、観葉植物の多くは十分な日光と風通し、湿度の中で十分な量の光合成をおこないつつ美しい姿を保っています。当然ですが、観葉植物は生きていますね。
観葉植物を水だけで育てるのをおすすめしない理由は?
購入当初の観葉植物は非常に色つやよく見栄えがいいです。これは、観葉植物を生産するプロによる徹底管理の賜物なのです。
しかし、一般家庭でこれらの観葉植物を長く育てていると、どうしてもすべての管理条件を完璧に整えることができません。
たとえば温度や湿度。観葉植物は20度~25度くらいで湿度70%以上を好む種類が多いです。日光も強すぎても弱すぎてもいけません。
つまり、プロの徹底した管理のもとで育てられた状態の美しい葉を、一般家庭で可能な限り長くキープするためには、足りない養分を補うことが必要なのです。
▲日当たりイマイチの場所で肥料を与えていないサンスベリア
肥料は観葉植物を大きくするためだけでなく、葉の色つやをキープし冬越しに備えるためにも欠かせません。
▲日当たり良好な場所で適期に肥料を与えているサンスベリア
対処法
- 株を丈夫に保ち、冬越しに向けた体力をつけるためにも適期に肥料を与える。
- 肥料にプラスで活力剤を用いるのもよい。活力剤は足りない栄養をサポートする目的で使用するのがおすすめ。
メネデール(活力剤)とハイポネックス(肥料)の違いは?観葉植物の使い方ガイド【まとめ】
今回は、肥料と活力剤の違いと観葉植物の状態に応じた使い方をご紹介しました。
ただ、店頭には数多くの肥料や活力剤が並んでいますね。一体どれを使えばいいのか分からない…という場合、まずはハイポネックス(液体肥料)を使うことをおすすめします。
理由は、ちゃんとした肥料は効果が実感しやすいからです。
たとえばゴムの木であれば、生育が旺盛になる20度~25度くらいの時期に、土がしっかりと乾いたタイミングで約500倍に薄めたハイポネックスを水やりとして与えてみてください。
1リットルに対してキャップ1/10程が500倍になります。これを生育が盛んな時期に2週間に1回程与えます。
肥料と活力剤の違い
- 肥料…窒素・リン酸・カリを法律で定められた法律で定められた数値以上含むもの
- 活力剤…肥料には満たない量の養分やその他微量要素を含むもの
肥料と活力剤の使い方の目安【観葉植物の状態別】
- 元気がない、ぐったりしている…肥料は与えず、管理環境を見直す。その上で、原因が他に見当たらない場合は活力剤であれば使ってみるのもよい。
- より大きく丈夫に育てたい…管理環境を整えた上で適期に肥料を与える。足りない栄養素は活力剤で補うのもよい。
- 大きくしたくないが色つやをキープしたい…株を丈夫に保つためにも、管理環境を整えた上で適期の肥料は与えるべき。「水だけ」「活力剤のみ」ではなく、あくまで基本の栄養は肥料で補給し、必要に応じて活力剤を併用するのがおすすめ。