艶々の大きな葉が印象的なインテリアグリーン「ゴムの木」。暑さにも寒さにも比較的強く、初心者でも育てやすい人気の観葉植物です。
すでにご自宅でゴムの木を育てている場合、挿し木(さしき)で簡単に増やせるのをご存じですか?
とはいえ、なかなかうまくいかずに失敗続き…という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ゴムの木の挿し木が失敗する原因と、挿し木の手順を画像付きで分かりやすく解説します。
ゴムの木の挿し木が失敗する、発根しない原因は?
失敗の原因①気温が足りなかった
ゴムの木の生育が盛んになるのは、春~秋にかけての暖かい時期です。
気温が足りないとなかなか発根せず、発根したとしてもうまく根が張らずに失敗してしまうことも多いです。
最低気温が15度以下の時期はなかなか発根しないよ。寒くなる直前の秋も避けた方が無難。せっかく発根しても寒さで弱ってしまう可能性が高いんだ。
失敗の原因②切り口が腐ってしまった
カットした挿し木を保水性の高すぎる土や、肥料分を多く含む土に植えつけていると、切り口が腐ってしまう恐れがあります。
また、土が暑さで蒸れたり寒さで冷えたりするのも失敗の原因になります。
切り口がぶよぶよになったら腐った部分だけカットし、切り口を更新してみて。発根する可能性があるよ。
失敗の原因③直射日光に当たった
直射日光に晒されると葉からの蒸散量が増え、発根する前に乾燥で枯れてしまう恐れがあります。
水挿しの場合は、強い光が当たると水温の上昇によって、切り口が傷んでしまう可能性が高まります。
植物は葉がある限り光合成しようと頑張る。すると、葉から水分が放出されちゃうんだ。
失敗の原因④葉が多すぎた
葉が多すぎると蒸散によって水分が放出し、発根前に枯れてしまう可能性が高くなります。
また、葉が一枚だけだったとしても、面積が広すぎる場合も同じように失敗する可能性があります。
葉が大きすぎる場合は半分にカットしてみて。断面から白い樹液が滲み出てくるから触らないよう注意。
失敗の原因⑤湿度不足
根の発達には湿度が重要であり、挿し木を行う際には湿度を維持する必要があります。
水やりが不足すると挿し木が乾燥し、根の発達を妨げることになるのです。
湿度が足りないとなかなか発根しないよ。しっかり発根するまでは湿度をキープすることが大事。ビニール袋の中に容器を入れておくと湿度が保てるよ。
もう失敗しない!ゴムの木を挿し木で増やす方法を画像で解説
では、さっそくゴムの木の挿し木をおこないましょう。とはいえ基本、挿し木は「切って挿すだけ」なのでとっても簡単。
ただ、挿し木の失敗を防ぐにはいくつかのポイントがあります。挿し木の手順とともに、失敗を防ぐコツも合わせてご紹介します。
ゴムの木 挿し木の手順1「適期は5月~6月頃」
ゴムの木の挿し木に適しているのは5月~6月頃の気温・湿度ともに安定した時期です。
適期におこなうことで乾燥による失敗を防ぎます。
「できるだけ失敗したくない」という方は、適期に挿し木をおこないましょう。
適期におこなうことは、挿し木する上でもっとも重要なポイント!生長が旺盛になるこの時期に挿し木することで、冬に備えてしっかりと根を張らせられるよ。
ゴムの木 挿し木の手順2「葉を2~3枚程付けて茎をカット」
穂先から約10cmのところでカットしましょう。葉が1~2枚程付いているのが望ましいです。
これが挿し木で株を増やすための「挿し穂」となる。挿し穂は清潔な剪定ハサミで切り落としてね。
挿し穂の切り口から出る樹液に注意
ゴムの木を切ると断面から白い樹液が滲み出てきます。これは「ラテックス」を含む液体で、ゴムの原料になるものです。
ゴムの木の樹液に素手で触れるのは控えましょう。
皮膚がかぶれる可能性があるからです。特に、ゴムアレルギーの方は必ず手袋を装着して作業しましょう。
ゴムの木の他にも「ガジュマル」「ベンジャミン」なども白い樹液が出てくる。挿し木はもちろん、剪定の際にも気を付けて。健康な株であれば、カットした葉の断面からも樹液が出てくるよ。
ゴムの木 挿し木の手順3「葉数の調整」
ゴムの木から挿し穂がとれたら葉数を調整します。
このままでは葉から水分が多く蒸発するため、発根しにくいです。
発根を促すためにも多すぎる葉はカットして減らしておこう!葉の大きさにもよるだけど、1~2枚程度を残して余分な葉は思い切って切り落としておくよ。
切り口の樹液はサッと水で流しておこう
切り口から出たゴムの木の白い樹液は水でサッと洗い流しておきます。
この樹液は切り口を塞ぐ効果があるため、そのままにしておくと発根しにくくいです。
元株の方の切り口から出た樹液は「ふき取らずそのまま」にしておいた方がよいよ。かさぶたになって切り口を守ってくれるんだ。
ゴムの木 挿し木の手順4「水揚げ」
根っこを失った挿し穂は発根するまで水をうまく吸い上げられません。
そのため、発根までの体力をつけてもらうために、切り取った挿し穂は数時間、水に浸けてしっかりと吸水させます。
この作業を「水揚げ(みずあげ)」というよ!
☆★挿し木をする時に水揚げ(みずあげ)が必要な理由↓↓
ゴムの木 挿し木の手順5「挿し床を用意」
挿し木のための土を「挿し床(さしどこ)」といいます。挿し床はどんな土でもok!というわけではありません。
発根させるためには「清潔である」「水はけがよい」「肥料分を含まない」の3つの条件をクリアした用土が適しています。
市販されている「挿し芽、種まき用の土」、または、「バーミキュライト」などが代用できます。
もしくは、パーライトや鹿沼土(細粒)、赤玉土(小粒)等も挿し床に適しています。
用意した挿し木用の土は小さめのポットに入れて、あらかじめ水をたっぷり与えて湿らせておきます。
気を付けたいのは「使い古した土ではないこと」。挿し穂の切り口からはさまざまな雑菌が入りやすい。汚れた土で挿し木をすると、雑菌によってそのまま発根せずに腐ってしまうこともあるんだ。
ゴムの木 挿し木の手順6「挿し穂を土に挿す」
水を吸わせた挿し穂を土に挿します。割りばしやピンセットで土に穴を開け、そこに挿し穂を差し込みましょう。
下穴を開けることで、挿し穂が折れたり曲がるのを防ぎます。
最後に指で軽く押さえ、安定させたら挿し木作業が完了です。
発根促進剤を使うと挿し木の成功率が上がる
土に挿す前に発根を促してくれる「発根促進剤」を切り口に付着させてもよいです。今回は「ルートン」というパウダー状の発根促進剤を使いました。
ルートンを使う場合、土に挿し穂を挿してから水を与えるとせっかく付着させた粉が流れてしまいます。
そのため、あらかじめ土を湿らせておきましょう。
「できるだけ失敗したくない」「適期とは少しずれているため発根するか不安」
このような場合、挿し木作業の際に発根促進剤を使うのも選択肢の一つです。
ゴムの木 挿し木の手順7「風通しのよい半日陰で管理」
あとは風通しのよい半日陰に置き、発根をまちましょう。直射日光は避けてください。
うまくいけば14日~1か月ほどで発根します。
発根が確認できるまでは土が乾きすぎないよう気を付けましょう。土の表面が乾いてきたら水を与えます。
ゴムの木 挿し木の手順8「発根後は徐々に通常の管理へ移行」
発根後は、徐々に日当たりの良い場所へ移動させ慣らせます。
水は土が乾いたらたっぷりと。生長がしっかりと確認できたら植え替えても構いません。
その際は、土に緩効性肥料を混ぜ込んでおくのがおすすめ。
緩効性肥料を混ぜ込んでおくと、水やりの度に少しずつ成分が溶け出し「長くゆっくり」効果が持続するよ。いちいち肥料を与える手間が省けるから忙しい人にもおすすめ!
ゴムの木は比較的肥料を好む植物。気温が20度以上であれば、月に1,2回ほど水で薄めた液肥を与えてもよい。
発根した?してない?の確認方法
「挿し穂に触れて抵抗を感じる」「新しい葉が出始めた」などが、挿し木が発根したかしていないかの確認方法です。
土から出して直接確認するという方法もありますが、挿し木してから1か月は待ちましょう。
葉が枯れて落ちたりしていなければ、挿し木から2か月くらいはそのまま様子をみるのがおすすめです。
「どうしても気になる…!」という場合は、あまり視界に入らず、手が届きにくい場所に置いておくのがおすすめ。意外と忘れた頃に新しい葉が展開しているものだよ。
挿し木後の鉢を置くのに適した「半日陰」とは?
よく目にするこの「半日陰」や「明るい日陰」という言葉。具体的には以下のようなことをいいます。
- 日光の当たっている場所のすぐ隣の陰
- 木漏れ日のような日光が当たってたり当たってなかったりする場所
(ルクス値は、約10000~15000)
これらの条件から、挿し木した鉢は基本、風通しの良い屋外に置くのが望ましいと考えられます。
☆★ゴムの木の枝を増やす方法!枝分かれさせて株にボリュームを出そう↓↓
ゴムの木の挿し木が失敗する原因は?発根しないのはなぜ?手順を解説【まとめ】
今回は、ゴムの木の挿し木の方法をくわしくご紹介しました。思っていたよりも簡単だったと思います。
ゴムの木の挿し木は「土に挿すだけ」でとてもシンプル。しかし、成功率を上げるためにはいくつかのポイントを抑えておく必要があります。
今回の記事をご参考に、ぜひ、ご自宅のゴムの木を挿し木で増やしてみてくださいね。
ゴムの木の挿し木【手順】
- step1「適期は5月~6月頃」
- step2「葉を2~3枚程付けて茎をカット」
- step3「葉数を調整(多すぎる場合は減らしておく)」
- step4「水揚げ」
- step5「挿し床を用意」
- step6「挿し穂を土に挿す」
- step7「風通しのよい半日陰で管理」