エケベリアは、ロゼット状に広がる美しい外観と手入れの容易さから人気の多肉植物です。
しかし、適切な環境条件が整わない場合は「徒長(とちょう)」と呼ばれる現象を引き起こすことがあります。
エケベリアが徒長すると、茎ばかりが伸びすぎてひょろひょろの見た目に。葉と葉の間隔が伸びて弱々しく、だらしのない見た目になってしまうよ。
そこで今回は、エケベリアが徒長してしまう原因と対処方法についてご紹介します。
エケベリアが間延びする原因は?
まずはエケベリアが徒長する原因を知り、これまでの管理方法を思い返してみましょう。
エケベリアが徒長する主な原因は「日照不足」
エケベリアは日光を好む植物です。十分な日光が当たらない場合には徒長して茎ばかりが日光を求めてひょろひょろと伸びてしまいます。
また、過剰な肥料や水やりも徒長に繋がることがあります。特に冬季には水やりを控えめにする必要があります。
日照不足になるとどうして徒長するの?
徒長した多肉植物
日照不足になると、光合成を促進するために茎や葉を伸ばし、光を浴びる面積を増やそうとします。
しかし、茎や葉が伸びすぎてしまうと見た目がひょろひょろになるのです。また、葉の重みで茎が折れたり、根元から倒れたりすることもあります。
また、日光不足によって生産される「オーキシン」と呼ばれる植物ホルモンが増加し、茎の細胞を伸ばすために働きます。
オーキシンは、茎の先端に集中して作られるため、茎先に力が集中して伸びやすくなる。これによって茎が伸びすぎてしまい、徒長が起こるんだね。
すでに間延びした株を元の姿に戻すことはできない
残念ながら、すでに徒長したエケベリアを元通りの姿に戻すことはできません。ただ、「切り戻し」で仕立て直すことができます。
切り戻し
徒長したエケベリアの茎は、本来の太さや強度を失い弱くなっています。そのため、元の美しい姿に仕立て直すためには、間延びした茎を切り戻す必要があるのです。
また、徒長した多肉植物は茎が伸びすぎて根の形成が不十分になっていることもあります。
間延びしたエケベリアは「切り戻し」で仕立て直すことが可能
エケベリアの美しい姿を取り戻すためには茎や葉を切り戻し、適切な環境条件を整える必要があります。
また、取り除いた葉を使って「葉挿し」することも可能です。(下画像)
※葉挿しとは?…植物の葉を切り取って、その葉から新しい株を作り出す方法のこと
ただし、修復には時間がかかる。特に、葉挿しは観賞価値が得られるようになるまでは1年程度かかることが多いよ。
徒長したエケベリアの仕立て直し方は?
徒長したエケベリアの仕立て直し 手順①適期に切り戻す
エケベリアの生長がさかんになるのは春と秋です。切り戻す場合は回復力の高い春か秋に実施します。
切れ味のよいハサミで成長点を切り戻しましょう。
徒長した茎の先端にある成長点を切り戻します。これにより、新しい芽を促進して植物がより健康的に成長することができます。
おすすめは春先、気温が上がり始める3月ころ
徒長したエケベリアを切り戻すのにおすすめの時期は、気温が上がり始める3月頃です。(地域によって時期は異なります)
春先に切り戻すことで、生長が鈍る梅雨・夏前までによりながく回復期間をもうけられます。
注意したいのが梅雨時期直前の切り戻し。梅雨時期は湿気によって株が蒸れ、株が弱りやすいので注意が必要なんだ。
徒長したエケベリアの仕立て直し 手順②下葉を取る
次に、土に挿す部分の葉を取り除きます。
葉を取る理由は?
あらかじめ下葉を取っておくことで、土に挿しやすくなるだけでなく蒸散(葉からの水分放出)を抑えて、乾燥による枯死を防いで発根を促します。
また、葉が地中で腐敗するのを防ぐこともできます。
徒長したエケベリアの仕立て直し 手順③乾いた土に挿す
下葉を取り除いた茎は乾いた土に挿します。
この時に気を付けたいの、切り口を濡らさないことです。切り戻し直後の茎は断面の傷口が塞がっていないため、すぐに水やりすると腐敗する恐れがあります。
切り口をしっかりと乾燥させるためにも、必ず乾いた土を用意してください。水やりは茎を挿してから約10日後におこないます。
この時使う土はどんなものが最適?
「水はけがよく通気性に優れる」「清潔である(使い古しでない)」「養分を含まない」。これら3つの条件が揃った土が「根が育ちやすい土」です。
市販の「挿し木・種まき用土」で構いませんが、無い場合は以下のような土を用意します。
- バーミキュライト:通気性が良く水はけもよいため、挿し木に適した材料。細かい粒子が根の成長を促すこともあります
- 赤玉土(小粒):通気性が良く、養分を含まないため挿し木に使えます
- 川砂…水はけがよく、通気性があるため、多肉植物の挿し木に適しています
徒長したエケベリアの仕立て直し 手順④基本は屋外管理
水やりは土がしっかりと乾いてから。明るく風通しのよい場所に置いて生長を促します。
うまくいけば、元株からは子株が2~3個出てくる
切り戻しから約2週間後のエケベリア
成長点を切り戻した後の元株からは、2週間ほどで子株が出てくるでしょう。(下画像)
徒長を再発させないためには気温が許す限り、屋外で管理するのが基本です。
十分な日光はもちろん、風通しを確保することで光合成を促すよ。
間延びしたエケベリアを葉挿しで育て直す方法は?
徒長したエケベリアには「切り戻し」の他、「葉挿し」で子株を発生させ育て直すという選択肢もあります。
ただ、葉挿しは切り戻しに比べて時間を要します。とはいえ、葉挿しだと少ない手間で一気に子株を増やすことが可能です。
エケベリアの葉挿し 手順
葉挿しでは、まず植物の葉を根元から切り取ります。その後、葉の切り口を乾燥させます。新聞紙の上や乾いた土の上に転がしておくだけで構いません。
うまくいけば、2~3週間ほどで葉の付け根から発根します。
その後、葉の付け根から子株が出現します。
切り口が傷つかないように注意しながら、乾いた土に置き、根っこ部分に軽く土を被せます。
土に挿し込む場合は根が傷つかないように気を付け、葉の下半分が隠れる程度に挿し込もう。
室内向けの土を使用すれば虫が寄り付きにくくなる
エケベリアは5度程度までは耐えられるほど寒さに強い植物です。
とはいえ、冬は5度以下になる地域が多いでしょう。その場合、屋外のエケベリアを室内に移動する必要が出てきますね。
屋外にあった鉢を室内に入れる際に気になるのが「虫の発生」です。
あらかじめ「室内向けの土」を使っておくことで、虫が寄り付きにくくなるよ!
エケベリアを徒長させないためのポイント3つ
エケベリアは、乾燥した環境と日当たりが良い場所で育てるのが最適です。以下は、エケベリアをこんもり可愛い姿に育てるためのコツ5つです。
①日当たりの確保
なんとっても、エケベリアは日当たりが良い場所を好みます。
気温が許す限りは屋外に置き、十分な日当たりを確保し育てましょう。ただし、夏場は高温により葉が傷みやすいです。
葉が変色するようであれば、直射日光を避けた半日陰に移動しておきます。
②水やりは控え目に
エケベリアは乾燥した環境を好みます。水やりは、土が完全に乾いた後に行いましょう。
過剰な水やりは根腐れの原因になるので注意してください。
- 春、秋➡土が乾いて1~2日程してから鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与える
- 梅雨時期・夏・冬➡土が乾いてさらに3~4日してから土の約1/3程度が湿るくらいに水やり(葉にシワがよってからでもok)
便利アイテムで水やりの失敗を防ぐ
慣れるまではなかなか難しいのが水やりのタイミングです。
特に夏や冬の水やりは難しく、ついつい水のやりすぎによって根腐れを引き起こしてしまいがち。
そんな方におすすめなのが「水やりチェッカー」!
土に挿しておくだけで、最適な水やりのタイミングを色で知ることができます。
春、秋 | チェッカーが「白」になって1~2日後に鉢底から水が出てくるくらいたっぷりと水やり |
夏、冬(梅雨も含む) | チェッカーが「白」になってさらに3~4日してから、土の約1/3が湿る程度に水やり |
③水はけの良い土を使う
エケベリアを可愛く育てたいなら、適切な鉢と土を使いましょう。
エケベリアは浅い鉢に植えられるとよく育ちます。また、排水が良く、水はけの良い土を使うようにしましょう。
「さぼてん・多肉植物用の土」もおすすめですよ。
エケベリアの鉢は通気性に優れる素焼き鉢がおすすめ
エケベリアは蒸れを嫌います。そのため、鉢は通気性に優れる素焼き鉢がおすすめです。
素焼き鉢には微細な孔があります。通気性が良いため、根腐れを防止することができます。また、多肉植物は根が浅いため、通気性の良い素焼き鉢が適しています。
多肉植物は、ナチュラルで落ち着いた雰囲気が似合います。
素焼き鉢は自然素材であり、落ち着いた雰囲気を醸し出すため、多肉植物に合った鉢として人気があります。
エケベリアに合う植木鉢を探しているなら植木鉢・プランター専門店アールデがおすすめ。常時2000種類以上の鉢を取り扱う老舗植木鉢店が運営する鉢・ポットの通販専門店。
モスポットをはじめアンティーク鉢、盆栽鉢、陶器鉢やファイバークレイ製の鉢までとにかく種類豊富。
エケベリアが間延びする原因は?徒長させないためのポイント【まとめ】
ということで、今回は多肉植物「エケベリア」が徒長する原因と徒長した時の対処法までをご紹介しました。
エケベリアの徒長は、栽培者が適切な環境条件を維持しない場合によく発生しますが、今回ご紹介した方法を実践することで仕立て直すことができます。
エケベリアは美しい外観と手入れの容易さから人気があり、正しい手入れを行うことで長く楽しむことができます。
徒長に悩まされた場合は、萎れた葉や茎を放置せず、早めに対処することをおすすめします。