ハイドロカルチャーは水耕栽培の一種で、室内でも清潔に観葉植物を育てる方法として人気です。
その一方で、ハイドロカルチャーには水耕栽培特有の問題もあります。
それが「藻」です。
藻の発生は水耕栽培を行う上で一番悩まされるポイントのひとつ。藻は成長を妨げるだけでなく、見た目や臭いも気になる要素だからです。
この記事では、「ハイドロカルチャーの藻の発生」をテーマに、その原因や対策を詳しく解説していきます。
ハイドロカルチャーで発生しがちな藻の正体と原因は?藻とカビの違いも
アオコは、水耕栽培においてよく発生する藻の一種であり、植物に悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、アオコの正体や発生の原因について詳しく見ていきましょう。
藻の一種「アオコ」の正体とは?
アオコは、植物性のプランクトンが大量に繁殖したもので、水面に青緑色の粉をまいたような姿が特徴です。
光合成を行いながら増殖するため、栄養のある水中で発生します。
また、酸素が不足すると腐敗してしまう特性も持っています。
藻が発生しやすい環境は?
藻が発生しやすい環境の特徴は以下の通りです。
- 生ぬるい水: 平均気温が25度を上回ると水温も上昇し、アオコの発生が促されます。昼と夜の温度変化が激しい地域では特に注意が必要です。
- 栄養過多: アオコは栄養のある水中で繁殖するため、過剰な肥料の使用や栄養過多が原因で発生することもあります。適切な肥料の使用量を調整し、水の質を保つことが重要です。
- 水の循環不足: 水の流れが滞る場所や日光の当たる水面でもアオコが発生しやすくなります。
この3つはハイドロカルチャーの栽培環境とほぼ一致しているんだ。
ハイドロカルチャーに現れる緑色は藻?カビ?両者の違いと見分け方
藻とカビは、見た目や発生場所が似ているため混同されやすいですが、実際には異なる生物です。
藻
- 分類:藻類は植物に近い生物であり光合成する
- 色:緑色、青緑色、赤色、茶色など様々な色がありますが、特に緑色が多い
- 発生場所:水中や湿った場所、日光が当たる場所。池、川、湖、湿地、プール、水槽、湿った壁などが典型的な場所
- 役割:光合成によって酸素を供給し、生態系の一部として重要な役割を果たす
カビ(カビ菌)
- 分類:カビは真菌類に属し、植物や動物とは異なる。菌糸と呼ばれる構造を持ち、胞子を形成する
- 色:白、黒、緑、青、赤、黄色など、様々な色がある
- 発生場所:湿度の高い場所、温暖な場所、換気の悪い場所に発生。浴室、台所、食品、壁、天井、木材、布製品などで見られる
- 役割:有機物を分解し腐敗させるため、自然界の分解者として機能するが、アレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす恐れがある
違いと見分け方
発生場所の違い
- 藻は水や湿った場所、日光が当たる場所に多く見られる
- カビは湿度が高く、換気が悪い場所に発生しやすい
見た目の違い
- 藻は滑りやすい感触があり、緑色をしていることが多い。水中や湿った場所で成長し光合成する
- カビは粉っぽい、綿状、またはふわふわした外観を持つことがあり、色も多様。匂いがあることも(特に黒カビは特有の臭いがする)
影響
- 藻は増えすぎると水質を悪化させることがある
- カビは建物や食品に被害を与え、アレルギーや呼吸器系の健康問題を引き起こすことがある
ハイドロカルチャーに藻が発生した時の対処方法
ハイドロカルチャーの容器内が緑色に変色している場合、藻が発生している可能性が高いです。
藻を放置すると植物の成長に悪影響を及ぼす可能性があるため、できるだけ早めに対処するのが望ましいです。
ハイドロカルチャーで発生した藻の対処方法
アオコを取り除くためには、以下の方法が有効です。
- 植物、資材を取り出す:容器内に水をたっぷりと注いで植物をそっと取り出します。
- 容器内の洗浄:容器内に付着した藻をしっかりこすり落としましょう。少しでも残っているとまた増殖してしまいます。
- 資材の洗浄:使用していた資材にも藻が生えていることもあります。水を張ったボウルに入れてブラシ等で汚れや藻を洗い落とします。
- 容器底に根腐れ防止剤を入れる:容器底には水の汚れを吸着してくれるミリオンAを入れて置くのがおすすめです。水が汚れにくくなり管理が楽になります。
- 植え付け:洗浄済の資材を使って再度、植物を植え付けましょう。
- 置き場所の見直し:日当たりの良すぎる場所にハイドロカルチャーを置いていると藻が生えやすくなります。窓際や窓に近い場所は避け、お部屋の中心近くに置くのがおすすめです。
藻対策で注意することは?
以下の点に留意しながら、藻対策に取り組みましょう。
- 藻は早めに取り除く: 藻が発生したら放置せずに対処しましょう。藻に覆われた植物は光合成や栄養吸収に支障をきたす可能性があります。
- 予防の重要性: 藻の発生は予防が重要です。定期的な水の交換や水質管理、適切な光の照射などを行い、藻が発生しにくい環境をキープしましょう。
- 環境管理の注意: ハイドロカルチャーは置き場所に注意が必要です。水温や光の量、水の循環などを適切に調整することで、藻の発生を予防できます。特に暑い季節や湿度の高い環境は藻の発生リスクが高まるため注意が必要です。
ハイドロカルチャーの容器内が緑色の汚れる見た目も悪くなる。放っておくと嫌なニオイも発しやすいから、藻に気付いたら早めにお掃除しておこう。
☆★ちなみに、ハイドロカルチャーの容器や資材に現れる白い汚れについては以下記事をご参考にされてください。↓↓
ハイドロカルチャーの藻対策!押さえておくべき3つのポイント
ハイドロカルチャーに藻が発生するのを防ぐための環境と予防策を、3つのポイントにまとめてみました。
日当たりが良すぎる場所を避ける
水温を一定に保つことは、藻の発生を防ぐために非常に重要です。水温は冬でも15~25℃を維持するようにしましょう。
とりわけ温度変化の激しい季節では、温度変化に注意が必要です。窓際は水温が上昇下降しやすくなります。
水を清潔に保つ
ハイドロカルチャーでは、水をこまめに入れ替えることが非常に重要です。
汚れた水は藻の発生原因となるため、常に清潔な状態を保つ必要があります。
もし藻が発生した場合は、容器をすぐに掃除して新しい清潔な水に入れ替える必要があります。
藻を防ぎたいのであれば、太陽光の栄養を受けにくい窓から少し離れたお部屋の中心近くに容器を置くのがおすすめ。
☆★ハイドロカルチャーの虫対策についてはこちらの記事をどうぞ↓↓
水質を綺麗に保つ「ミリオンA」を使うのもおすすめ
ハイドロカルチャーにおすすめの資材が「ミリオンA」です。
ミリオンAを容器底に入れることで水を浄化し、根腐れを防止してくれます。
また、不純物を吸着して水を清潔に保ってくれる効果もあります。水替えの回数を減らすことが可能です。
☆★ちなみに100円ショップにも「根腐れ防止ゼオライト」として販売されています。↓↓
こちらはダイソーさんで購入したもの。気になる方は探してみてください。
ハイドロカルチャーの特長は?
ハイドロカルチャーは土を使わず、人工用土と水だけで植物を育てる画期的な栽培方法です。
この方法では植物の根を透明な容器に浸し水中で栽培します。
ハイドロカルチャーは省スペースで楽しめる
地面や畑を必要とせず、限られたスペースでも栽培ができます。
室内で行えるため、天候の影響を受けずに植物を育てることができます。
ハイドロカルチャーなら害虫がつきにくい
100%虫がつかないというわけではありませんが、土での栽培に比べると害虫がつく心配が少ないです。
農薬や殺虫剤を使用せずに安全な野菜や果物を栽培することができます。
ハイドロカルチャーはインテリア性が高くおしゃれ
ハイドロカルチャー用土にはハイドロボールの他にもカラーサンド、アクアジェリーなどがあります。
土に比べるとインテリア性が高くおしゃれな見た目です。
土栽培とハイドロカルチャー、その違いとは?
ハイドロカルチャーと土で栽培する方法には、いくつかの違いやメリットがあります。
ハイドロカルチャーは生長がゆっくり
ハイドロカルチャーは狭いスペースでも可能ですが、土で栽培する場合は広いスペースが必要です。
ハイドロカルチャーで観葉植物を育てる場合、どうしても生育がゆっくりになります。
ハイドロカルチャーは室内管理が基本
ハイドロカルチャーは室内管理が基本です。
そのため、候の影響を受けません。一方、屋外で栽培する場合は天候によって成長に影響を受けます。
ハイドロカルチャーは害虫の発生リスクが低い
ハイドロカルチャーは土を使いません。そのため、害虫やコバエの発生リスクがかなり低く抑えられます。傾向があります。
一方、土で栽培する場合は害虫の発生がより起こりやすいです。
ハイドロカルチャーに関するよくある質問
1. 水耕栽培は初心者でもできますか?
はい、水耕栽培は初心者でも手軽に始めることができます。水耕栽培キットを使用すると道具や器具が揃っているため、失敗せずに栽培を始めることができます。
2. 水耕栽培と土で栽培する方法、どちらが良いですか?
水耕栽培と土で栽培する方法は、植物や環境によって選ぶべきです。水耕栽培は害虫の発生リスクが低く、狭いスペースでもできます。一方、土で栽培すると植物の成長が早くなります。目的や条件に合わせて選びましょう。
3. 藻が発生した場合の対処方法はありますか?
容器内をしっかり洗浄しましょう。少しでも藻が残っていると繁殖を繰り返します。
置き場所の見直しも忘れずに。日当たりの良すぎる場所は藻が生えやすいです。
4. ハイドロカルチャーの最適な環境と予防対策はありますか?
水耕栽培を成功させるためには、以下の環境要件と予防対策を守ることが重要です。
温度管理と太陽光の制御(窓際は避ける) – 水の清潔さの維持(水替え、根腐れ防止剤の使用) – 植物の根のケア(半年~1年に1回の清掃、資材の交換)
これらの要件を適切に満たすことで、藻の発生を予防することができます。
5.藻が付着したハイドロカルチャー用土は洗えばok?
しっかり藻を落せば繰り返し使うことができます。
ただ、ハイドロカルチャーに使われるハイドロボールやハイドロコーンは多孔質。
資材内部に少しでも藻が残っていると再発しやすいので注意です。
使い古しの歯ブラシ等でこすれば落とせるものの、しっかり落としきるのはなかなか難しいし手間もかかる。個人的には、藻が付着した部分のみ新しい資材と交換するのがおすすめ。
☆★ハイドロボールを再利用する方法はこちら↓↓
ハイドロカルチャーの藻対策!容器内が緑色になるのはカビ?アオコ?【まとめ】
- 見栄えを悪くするだけでなく、異臭を放ったり植物の生育に悪影響を及ぼす藻はできるだけ早めに取り除くのが理想的
- 藻は暖かく(水温25度くらい)日当たりの良い場所で発生しやすい
- 水の流れが悪く、栄養過多な状態だと藻が発生しがち
- 藻対策としては「こまめな水替え」「窓際に置かない(日当たりの良すぎる場所は避ける)」「根腐れ防止剤(ミリオンA、ゼオライト等)を使用する」が効果的
- 藻が発生したら容器内を丁寧に洗浄し、置き場所・管理方法を見直す
- 藻が付着したハイドロカルチャー用土を再利用する場合はしっかり洗浄する。少しでも藻が残っていると再発しやすい
- 藻が付着したハイドロカルチャー用土は完全に落としきるのが困難。個人的には交換するのがおすすめ
ハイドロカルチャーにおいて藻の発生は一つの問題点ですが、適切な対策を行うことで藻を予防することができます。
水温や水の清潔さの管理、植物の根のケアなど、さまざまな要素を考慮しながら藻の発生を抑えましょう。